序文

みなさんが日々使う検索やソーシャルネット、スマホのアプリ。これらが、日々「最適化」されていることをご存知だろうか?一見すると華やかに見えるインターネット、SaaS、DXといったテクノロジーの裏には、この「ウェブサイト最適化」の技術がある。「現代のKaizen」といっても過言ではない、隠れた超重要技術である。

単純に言うと、AとBの2つのバージョンを用意して、どちらをユーザが好むかをテスト(A/Bテスト)するものだ。そしてプロダクトをユーザに合うように最適化していく。これが、GAFAをはじめとする大企業はもちろん、国内のネット企業でも、シリコンバレーのスタートアップでも、日常的にものすごい速度で行われている。

この技術を知ってしまうと、「自分が仕事中でもついついアプリを触ってしまう」「子どもがスマホから離れない」理由もよく分かる。いくら「控えよう」と思っても、触ってしまう。自分の意思でこの「最適化」に抗うことは、世界チャンピオンとボクシングで戦うようなものだ。そのくらい重要で強力な技術である。

この隠れた超重要技術をこれまで体系的にまとめた本は少なかった。本書は、その技術を数理的な背景から説明し、また具体的に何をやるのかをコードを使って分かりやすく説明している。著者の博士論文をさらにパワーアップさせた内容になっており、教科書としての完成度も高い。特に理系・エンジニアの方には読みやすい内容だろう。

この考え方は、これからデジタル化していく多くの産業で必ず必要になってくるものだ。また、マーケティング、商品開発、デザインなどの考え方を根本から変えるものでもある。理系でない方にも、ぜひ一度手にとって、データに基づく最適化の世界の「雰囲気」を味わっていただきたい。

東京大学大学院工学系研究科 ...