まえがき
あなたは最高のユーザ体験を提供することを目指して日々プログラミングをするウェブエンジニアでしょうか?それとも、ウェブサービスの成長を目指して施策を考えて実行に移すウェブマーケターでしょうか?どんな形であれウェブサービスの開発に携わるかぎり、ユーザにより良い体験を提供することは無視することのできない命題です。よりウェブサービスが市場のニーズに応えられるものに成長を遂げ、より多くのユーザがより深くサービスを使ってくれるようになることほど嬉しいことはありません。
しかし、目の前にいるユーザは、ウェブサービスを開発するあなたとは異なる人間です。あなたが良かれと思ってウェブサービスに施した変更は、もしかしたら一部のユーザには致命的な悪影響を及ぼしているかもしれません。一方で、あなたがウェブサービスに埋め込んだバグが、一部のユーザには熱烈な歓迎とともに迎え入れられているかもしれません。ユーザがそのサービスを使っている理由はさまざまで、あなたが思いも寄らないようなものかもしれません。結局、そのウェブサービスを知りすぎてしまったあなたは、ウェブサービスを利用する一般的なユーザ像としては機能しなくなってしまうのです。
たとえば、みなさんは2010年頃にローンチされたBurbn(バーバン)というウェブサービスをご存知でしょうか?Burbnは位置情報に基づいたソーシャルネットワークサービスで、ユーザが近所のレストランやショッピングモールにチェックインしたり、そこで撮影した写真を共有したりできます。開発者の2人は熱心に機能を追加し、もっと多くのユーザにサービスを楽しんでもらえるように努めましたが、その成果はどれもイマイチでした。それどころか開発者が注意深くユーザの行動を観察してみると、ほとんどのユーザは位置情報機能を使っていなかったのです!ユーザが熱心に使っていたのはオマケの写真共有機能、特にそのフィルター機能でした。当時のスマートフォンのカメラの画質は今ほど良くなかったので、写真をきれいに編集してくれる機能が求められていたのです。そこで開発者の2人はフィルターと写真共有以外の機能をすべて取り払って、このウェブサービスを再スタートさせることにしました。それが今日のInstagram(インスタグラム)です。いまや世界中で使われているInstagramの開発者でさえ、最初からユーザのニーズが完全に見えているわけではなかったのです。 ...
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