1章UX戦略とは何か
注射針でボロボロになるところを見た。誰にでもそういうところが少しはあるものだ。── ニール・ヤング(ロックミュージシャン)、1972
数年前、ソフトウェアエンジニアとしてとても大きな成功を収めていた人物が、問題を抱えていたことがきっかけでアントレプレナー(起業家)になった。問題というのは、彼の愛する人が薬物依存症の治療を必要としていたことだ。彼は、評判のよい医療施設で適切な治療を受けるために、毎年何百万ものアメリカ人が強いられる面倒な行程を行わなければならなかった。しかし、その行程の道筋は不確実で、ペインポイント(悩みの種)に満ちていた。価格に透明性はなく、偏りのない評価にもとづいて病院をまとめて調べられる場所もない。そして、大勢のペテン師たちが高すぎる施設を建てて彼のような不幸のどん底にいる人々を食い物にしていた。しかし、病院を調べているうちに、優れた医療施設でも、絶えず空きベッドができてしまう問題に悩んでいることがわかった。紹介状のなかから適切な患者を選び出すことが難しいのだ。そして、保険会社から治療費を回収するのも大変なことである。ソフトウェアエンジニアの彼は、この行程を終えたとき、まったく別の冒険に出発するチャンスを見つけていた。市場の問題を解決するとともに、問題を抱えて必死な思いでいる人々の役にも立てる。こうして彼の会社は生まれた。彼のアイデアは、オンラインの操作で、適切な患者と適切な医療施設を結び付けることであった。
彼のシステムは市場を破壊的に変える可能性を秘めたものだったので†1、優秀なチームを集めて、投資者も確保できた。優れたリハビリ施設との間に関係を築き、空きベッドとそれを必要とする人々をマッチングするデータベースを開発した†2。最良の施設だけがデータベースに登録されるようにするために、個々の施設を綿密に調査するための方法も編み出した。そしてもちろん、彼と開発チームは、顧客を獲得するために、顧客向けのウェブサイトを開発した。 ...
Become an O’Reilly member and get unlimited access to this title plus top books and audiobooks from O’Reilly and nearly 200 top publishers, thousands of courses curated by job role, 150+ live events each month,
and much more.
Read now
Unlock full access