15章人とプロセス
データアーキテクチャの複雑な世界において、テクノロジーやツールが注目を集めがちです。しかし、その中心にあるのは、人とプロセスです。組織が従来型のデータモデルからMDW、データファブリック、データレイクハウスといった革新的なアーキテクチャへ移行し、さらにデータメッシュのような非中央集権型パラダイムへと進化していく中で、成功を左右するのは最終的に人の力です。では、なぜそこまで「人」が重要なのでしょうか。
筆者は、データウェアハウスやアプリケーション、レポートプロジェクトの構築に長年携わってきました。その中で、プロジェクトを成功に導いた事例もあれば、失敗に終わった事例も数多く見てきました。たとえば、最先端の設備を備えた超高層ビルを建設すると想像してください。完璧なブループリント(設計図)があり、使用する材料も最高級です。それでも、建設者・エンジニア・マネージャーの間でビジョンが共有されていなければ、あるいは一貫した行動を支える明確なプロセスが欠けていれば、そのプロジェクトはすぐに破綻してしまうでしょう。
データアーキテクチャの変革も同じです。単にテクノロジーを導入・刷新するだけでは成功しません。本当に変えるべきなのは、組織文化そのものです。データの管理方法・処理方法・評価方法を見直すということは、チームがデータをどう捉え、どう関わるかという考え方の転換を意味します。既存の常識を疑い、新しい手法を受け入れることは、技術的な挑戦ではなく、人の意識を変える挑戦なのです。
この「人」に関する問題の核心は、役割の明確化にあります。誰が何を担当し、どのように責任を分担するのか。データがスムーズに流れ、正しく処理され、倫理的かつ効果的に活用されるために、誰が責任を持つのかを明確に定義しなければなりません。役割を誤解・軽視すれば、非効率が生じ、最悪の場合プロジェクトは失敗します。逆に、明確に役割を設計したうえで、各チームメンバーが自身の責任をはっきりと理解し、その責任を果たすために必要なリソースを確保できれば、それは、これから築こうとする、データという壮大な建築物の基礎を堅固にすることに等しいのです。 ...
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