July 2018
Intermediate to advanced
224 pages
3h 13m
Japanese
デカルトの「心身二元論」(身体機械説)以降、近代科学は脳と身体を分けて考えてきましたが、20世紀の科学の進展の結果、知性と身体性は分離できないことがわかってきました。
身体性を持たない生命個体は存在しませんが、同時に、実際の生命個体と同様に世界の中を生きられる身体性が実装されたシミュレーションやロボットなどの人工システムもまだ存在しません。コンピュータ・シミュレーションの中だけではなく、実世界の中で生命的な挙動を持ったALifeを作るには、身体性の問題は避けて通れません。
この章では、ロボットの身体というテーマを飛躍的に発展させたブルックスのサブサンプション・アーキテクチャを振り返り、実際にそのシミュレーションを実行しながら理解していきます。そのうえで、身体と脳の共進化というテーマについて考察していきます。
ALifeの研究の歴史で、偉大な貢献をした研究者のひとりに、MIT名誉教授でロボット工学者であり、世界的なロボット会社iRobot(アイロボット)社やRethink Robotics(リシンク・ロボティクス)社の創業者である、ロドニー・ブルックスがいます。
ブルックスが研究するロボットは、完全に自律性を持った人工生命体を目指すという点で、ALifeの研究が目指していたものと共通していました。実際、ブルックスは、ALife研究が最も盛んだった1980~90年代のALifeコミュニティの中心人物のひとりでした。この時期にブルックスが考え、iRobot社の掃除ロボット・ルンバ(Roomba)にも実装されている仕組みが、「サブサンプション・アーキテクチャ(subsumption architecture)」です[33] ...
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