生成AI時代の価値のつくりかた ―実践者のマインド、スキル、データ、ユースケース
by Rob Thomas, Paul Zikopoulos, Kate Soule, 本多 真二郎, オライリー・ジャパン編集部
3章AI説得のための方程式
本書ではこれまで、生成AIへの優れたアプローチ方法、この「モーメント」がいかに奥深いものであるか、注意すべきいくつかの点、あなた自身が「火付け役」(AI価値創造者)となる方法、その始め方、そして問題解決のための新たなマインドセットなどをフレームワークとして提示してきました。技術的な詳細にも一部触れましたが、専門家向けの話は控えめにして、ビジネスサイドに重点を置いてきたことには、ご納得いただけることでしょう。それはすべて意図的なものであり、本章もその方針に変わりはありません。
正直なところ、この章は最後の最後で追加されました。本来であれば、次はユースケースに関する章をお届けするはずでした。そして、私たちは編集チームに、この場を借りて公式に謝罪しなければならないと感じています。私たちが最終稿を手渡したとき、編集チームの面々は、そのあまりの修正量に驚きの表情を浮かべていたからです。
では、なぜこの章を追加したのか。それは、世界的に有名な経済人類学者、ジェイソン・ヒッケル博士の見解に出会ったからです。彼の研究は、グローバルな政治経済、格差、そして生態経済学に焦点を当てています。彼はこう述べています。「今日、富める国も貧しい国も、世界のほぼすべての政府が、国内総生産(GDP)の成長という一点にひたすら集中している。これはもはや、選択の問題ではない」。
この言葉は、私たちに最初の二つの章を振り返らせ、ある気づきを与えました。これまで、皆さんが行動を起こすべき説得力のある理由を提示してきましたが、ヒッケル氏が指摘しているのは、そもそも皆さんには「行動しない」という選択肢がない、ということなのです。あなたが、自分で選択肢を選んで進む冒険ゲームの中にいると想像してみてください。ただし、もしあなたが成功を望むのであれば、その選択肢は、ほとんどがあらかじめ選ばれているのです。そして、このことを真に理解するためには、なぜAIが将来の成長にとって重要なのか、私たちが直面する「生産性のパラドックス」とは何か、そして、それを乗り越えるために本章で提示する「方程式」とは何かを正しく理解する必要があります。 ...
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