生成AI時代の価値のつくりかた ―実践者のマインド、スキル、データ、ユースケース
by Rob Thomas, Paul Zikopoulos, Kate Soule, 本多 真二郎, オライリー・ジャパン編集部
9章生成コンピューティング:コンピューティングの新しいスタイル
本書が終盤に差し掛かり、読者の皆さんはこうお考えかもしれません。「LLMの次に来るものは何だろうか」と。結局のところ、大規模言語モデル(LLM)は紛れもなく特異な創造物であり、(私たちを含む)専門家でさえ、この技術の未来像について完全には意見が一致していません。本章の目的は、ゲスト共著者であるIBM ResearchのAIモデル担当バイスプレジデント、デビッド・コックスの協力を得て、現在の状況を踏まえつつ未来を見据え、私たちが考える新しいコンピューティングのスタイルを紹介し、それが今日のコンピューティングの諸スタイルと並んで正当な地位を占めるであろうことをお示しすることです。前章では、誰もがソフトウェアプロジェクトに貢献するようにLLMの訓練に貢献できるInstructLabについて論じました。しかし、LLMをソフトウェアのように構築するだけでなく、現代のソフトウェア開発と同じように、LLMを使って構築し始めたらどうなるでしょうか。端的に言えば、今日、人々は一貫性がなく、構造化されていない、雑然とした方法でLLMを用いた開発を行っています。私たちは、LLMベースのアプリケーションは、通常のソフトウェア開発と同様に、構造化され、原則に基づいた方法で構築されるべきだと考えています。これが実現すれば、例外処理やバッファ管理といったソフトウェア工学の原則をAIに適用できるようになり、モデルをより効率的、安全、かつ扱いやすくし、表現力と性能を高める上で、大きな恩恵が得られるからです。
私たちにとって、LLMがダウンロードして推論スタック上で起動するような、単なるファイルの集合体ではないことは明らかになりつつあります。私たちはLLMの未来は統合パッケージの一部となり、そのアクセスと機能は「スマート」なランタイムを通じて仲介されるようになると考えています。これは素晴らしいニュースです。つまり、構造化されておらず雑然としたテキストの塊、すなわち今日知られているプロンプトを介することだけが、LLMと対話する唯一の方法ではなくなるということです。これにより、非効率で手間がかかり、エラーを起こしやすいプロンプトエンジニアリングという「アート」を、プログラムによる制御フローのための構造化されたインターフェースや、正確性のための明確に定義されたLLMのプロパティなどで置き換えることが可能になります(プロンプトエンジニアの皆さん、申し訳ありません。皆さんの仕事は、音楽界の一発屋のそれに近づいているかもしれません。「マカレナ」のダンスで相応の栄光を手にしたことは間違いありませんが、ほとんどの人は歌は覚えていても、そのダンスを思い出すのには苦労するでしょう)。 ...
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