生成AI時代の価値のつくりかた ―実践者のマインド、スキル、データ、ユースケース
by Rob Thomas, Paul Zikopoulos, Kate Soule, 本多 真二郎, オライリー・ジャパン編集部
8章データを差別化要因として活用する
前章では、小規模言語モデル(SLM)が秘める力と可能性について、私たちの見解を述べました。「単一のモデルがすべてを支配する必要はなく、また、そうなることもない」という考え方をご紹介し、巨大なモデルがいかに扱いにくく高価であり、それらを構築できる少数のベンダーに権力を集中させてしまうかを概説しました。しかし、それ以上に重要なのは、巨大モデルは(自社のデータを明け渡さない限り)そのデータを活用して自社のビジネスに特化した価値を生み出す上での助けにはならない点です。つまり、それは「AI価値創造者」ではなく、「AIの利用者」であり続けることにしかならないのです。私たちは、高度に特化したモデルがいかに驚くべきことを成し遂げられるかを提唱し、今後もそれを証明し続けます。私たちが望むのはオープンなAIの未来であり、それゆえに、単一のスーパーLLMがすべてを支配すべきだという考えに反対するのです。
本書の基本的な前提は、「AI価値創造者」になる唯一の方法は、まず自社のデータを眠れるスーパーパワーとみなすことから始まるというものです。AIでできることを最大化し、価値を創造するためには、自社のために価値を生み出すべくデータを機能させることができる、全社的な協調エコシステムの育成に大きく投資すべきだと私たちは信じています。事実、この考えを非常に重要視しており、それが文字通り本書のタイトル『AI Value Creators』†1にもなっています。
[†1] [訳注]本書の英語原著のタイトル。
この章では、社内の開発者や各分野の専門家が、モデルカスタマイズの新しい技術を活用して自社の生成AIモデルに貢献し、それによって自社のビジネスのために競争優位性のある、差別化されたAIイノベーションを推進し、価値を創造する方法について見ていきます。 ...
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