SRE サイトリライアビリティエンジニアリング ―Googleの信頼性を支えるエンジニアリングチーム
by Betsy Beyer, Chris Jones, Jennifer Petoff, Niall Richard Murphy, 澤田 武男, 関根 達夫, 細川 一茂, 矢吹 大輔, Sky株式会社 玉川 竜司
31章SREにおけるコミュニケーションとコラボレーション
執筆:Niall Murphy
執筆協力:Alex Rodriguez、Carl Crous、Dario Freni、Dylan Curley、Lorenzo Blanco、Todd Underwood
編集:Betsy Beyer
Googleの組織内でのSREの立場は興味深いものであり、それは私たちのコミュニケーションと協力のあり方に影響を与えています。
まず始めに、SREが行うこととそのやり方にはきわめて大きな多様性があります。私たちはインフラストラクチャチーム、サービスチーム、プロダクト横断的なチームを持っています。私たちはプロダクト開発チームとの関係を持っていますが、その相手となるチームの規模は、私たちの何倍にも及ぶ場合もあれば、私たちと同程度の場合もあります。そして私たち自身がプロダクト開発チームになっているような状況もあります。SREチームは、システム工学やアーキテクチャのスキル([Hix15b]参照)、ソフトウェアエンジニアリングのスキル、プロダクトマネージメントのスキル、リーダーシップのセンス、多様な業界での経験(33章参照)などを持つさまざまな人々から構成されます。私たちが持つモデルは1つだけではなく、いろいろな構成がうまくいくことも分かりました。この柔軟性は、突き詰めれば現実主義的な私たちの性質とマッチしているのです。
また、SREが上意下達の組織ではないことも確かです。概して、私たちは少なくとも2つのことに対して熱意を注ぎます。一つはサービスやインフラストラクチャのSREチームの場合、そのサービスやインフラストラクチャの開発を行うプロダクト開発チームと密接な関係の下で働くことです。そしてもう一つはもちろん、一般的なSREのコンテキストの下でも働くことです。私たちはサービスのシステムのパフォーマンスに対して責任を負うことからサービスとは強い関係性を持ちますが、それにもかかわらず実際にはSREとしての組織体制を持っています。今日、私たちはプロダクトをまたぐ業務よりも個々のサービスのサポートに時間を割いていますが、私たちの文化や共有する価値は、さまざまな問題に対してきわめて均質的なアプローチを生み出しています。これは、そうなるように制度設計がなされているのです ...