28章SREの認知的作業
John Allspaw、Richard Cook(Adaptive Capacity Labs)
……制御システムが高度になるほど人間のオペレータの貢献が重要になるかもしれないというのは皮肉なことである。
― Bainbridge, 1983
28.1 はじめに
最先端の「システム」とは、ハードウェアとソフトウェアが渾然一体となって、変わりやすい世界=環境の中に組み込まれ、常に変化していくものです。そこから生まれる超分散、変動する構成、常に変化するワークロード、最先端をゆく技術集合体の継続的な変更といった特徴は、そうしたシステムの設計、メンテナンス、診断、修復を担当する者に独自の課題を突きつけます。私たちは皆、この課題について探索して、システムを機能させ続けるためにできること、特にシステムを巡って何が起こりつつあるのか把握する方法を理解しようとする動向の中に身を置いています。そうした取り組みで分かってくることは、刺激的でもあり憂鬱でもあります。刺激的というのは、調査研究の結果として、人間とグループに関する非常に緻密な専門知識を、そうした専門知識をもたらす新たな仕組みと並んで知ることができるからです。憂鬱というのは、こうした専門知識を効果的に活用しようにも、技術や組織の在り方が貧弱すぎる場合があまりにも多いからです。
筆者らは同僚と共に、SREという仕事を行う人々、直面する課題、用いるアプローチ、業務の中で発生する問題について調査しました。この仕事は傍目からは、専門性が少なく日常的つまり退屈とすら想像されているきらいがあります。実際の業務状況を調べて分かったのは、それとは対照的に、SREの仕事は波乱に富んでいることが多く、危険な場合もあることです。 ...
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