まえがき
シリーズ最初を飾るこの薄い本は、プロのプログラマーのためのものである。プロのプログラマーとは、自分の技巧そのものや仕事を小さく改善して大きな成果を出すことに対して、ギークのように深くまで関心を持つソフトウェア開発者だ。著者のケント・ベックはまさにそのような熱心なプロフェッショナルであり、細部に注意を払いつつ大きな問題や全体像との調和も保っている。
現役のソフトウェア開発者は理論に注意を払わないことが多い。だがケントは理論と実践を組み合わせて、読みやすさと実用性を兼ねたコードへの整頓を指南するとき、何を話すべきかよくわかっている。
理論上は、理論と実践に違いはないが、実際にはある。この含蓄のある発言にはさまざまなバージョンがあり、アルベルト・アインシュタインやヨギ・ベラなどに由来すると言われている。だが、これは間違いだ。言葉にうるさい人だけが気にするのだろうが(バレたか、私もだ)、正しくは1882年の「Yale Literary Magazine」に執筆したエール大学の学生であるベンジャミン・ブリュースターに由来する。QuoteInvestigator.comの言語ギークのおかげで、自信を持ってこのギーク独特の細部を伝えられる。この職業は、細部を正しく把握することにかかっているのだ。
理論と実践を結び付けるにあたって、ケントはごく小さなコード片とちょっとした細部に細心の注意を払うところから始め、それから、変更や修正が避けられない状況においても堅牢でクリーンなコードを作るプロセスを説明するという大きな視点へと進める。ケントは、最終的にソフトウェア開発の現実の経済性と、ソフトウェアエンジニアリングの中心的な理論を土台にして、この実践ガイドをまとめている。
中心的な理論はシンプルだ。コンピューターコードの複雑度は、どのようなパーツで構成されているか、それらが互いにどう結合しているか、パーツ自体がどれくらい凝集しているかによる、というものだ。結合と凝集の理論のもととなるのは、エドワード・ヨードンと私が書いた『Structured ...
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