ゼロトラストネットワーク 第2版 ―境界防御の限界を超えるためのセキュアなシステム設計
by Razi Rais, Christina Morillo, Evan Gilman, Doug Barth, 鈴木 研吾
4章
認可の判断
認可の判断は、ゼロトラストネットワークにおいて最も重要なプロセスであり、慎重に行う必要があります。最終的に、すべてのフローやリクエストに対して判断が求められます。
本章で説明するデータベースおよびサポートシステムは、判断を実施し、その判断に影響を与える重要なシステムです。これらは全体としてアクセス制御の根拠となるため、互いに厳密に分離されている必要があります。単一のシステムへの統合を検討する場合には、それぞれの責任範囲を明確かつ慎重に区別することが重要です。
本章では、現実的な要件を踏まえつつ、ゼロトラストの認可判断に必要なコンポーネントの概要、それらの組み合わせ、および判断の方法に焦点を当てて説明します。
4.1 認可のアーキテクチャ
ゼロトラスト認可アーキテクチャは図4-1に示したように、次の4つのコンポーネントで構成されています。
- エンフォースメント
- ポリシーエンジン
- トラストエンジン
- データストア

図4-1 ゼロトラスト認可システム
これら4つのコンポーネントはそれぞれ責務が異なるため、別々のシステムとして扱います。セキュリティの観点から、これらのコンポーネントを疎結合にすることが非常に望ましいです。これらのシステムはゼロトラストセキュリティモデルの実質的なクラウンジュエル*1であるため、その保守とセキュリティ態勢には特別な注意を払う必要があります。実装の観点から、1つのコンポーネントの侵害が自動的にシステム全体の侵害につながることを防ぐため、各コンポーネント間の分離が重要です。このシステムの処理は通常、クラウド上で行われます。SaaSベースのサービスであれば、単一ベンダーの傘下での利用状態を維持しつつ、さまざまな要素に基づいた分離が可能です。もう1つの一般的なパターンはマイクロサービスです。そこではさまざまなサービスがプロバイダー間で分散され、明確に定義されたAPIを介して機能提供されます。今日のソフトウェアシステムは通常、高度に分散化されているため、早い段階で分離するよう計画すべきです。 ...
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