ゼロトラストネットワーク 第2版 ―境界防御の限界を超えるためのセキュアなシステム設計
by Razi Rais, Christina Morillo, Evan Gilman, Doug Barth, 鈴木 研吾
9章
ゼロトラストネットワークの実現に向けて
この章では、読者がこれより前の章で得た知識を自分のシステムに適用するための戦略作りを手助けします。ゼロトラストネットワークは既存のシステムをもとにして構築される可能性が非常に高いため、この章ではその移行を成功させる方法に焦点を当てます。
ゼロトラストはネットワークに後付けできる製品や単一のサービスではないことを忘れないでください。ゼロトラストはネットワークのニーズや制約に基づく一連のアーキテクチャ原則です。したがって、この章では変更点のチェックリストを提供するのではなく、自システムでのゼロトラストネットワーク実現方法に関するフレームワークを提供します。
9.1 ゼロトラストネットワークへの第一歩:現ネットワークの理解
ネットワークインフラストラクチャーを徹底的に評価することは、堅牢なゼロトラスト戦略の基底となります。まず、デバイス、ソフトウェア、データフローを含むすべてのネットワーク要素をマッピングし、セキュリティのギャップや改善が必要な領域を特定します。このようにネットワークの現状を包括的に把握することは非常に重要であり、潜在的な脆弱性に関する洞察や、ゼロトラストの原則を効果的に適用すべき場所と方法を示します。この基礎的な理解は組織の特定のニーズや脆弱性に合わせてセキュリティ対策を整合させるために必要不可欠です。さもなければ防御とその効果が不十分になり、セキュリティ侵害に対して脆弱になる可能性があります。最終的な目標はゼロトラストをシームレスに統合するための既存ネットワークの明確な設計図を作成することです。
9.1.1 スコープの選定
ゼロトラストネットワークの構築を始める前に、その取り組みにおける適切なスコープを選定することが肝要です。成熟したゼロトラストネットワークには多くの相互連携するシステムが存在します。大規模組織であれば、これらのシステムの構築は実現可能かもしれません。しかし小規模組織にとっては、必要なシステムの数と複雑さがゼロトラストネットワークの実現を困難に感じさせてしまうかもしれません。 ...
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