至るところにある万能性
207
7
章
至るところにある万能性
世の中で目にする複雑さというのは、たいてい複雑なシステムからもたらされます。哺乳類、マイク
ロプロセッサ、経済、天候などなど。したがって、単純なシステムには単純なことしかできないと思う
のも当然です。ところが本書では、単純なシステムにもすぐれた能力があることを見てきました。6章
では、極めて最小限のプログラミング言語ですら、役に立つ仕事ができる能力を備えていることを見
ました。5章では、エンコードされた別の機械の記述を読んで実行をシミュレートできる、万能チュー
リングマシンの設計について簡単に説明しました。
万能チューリングマシンの存在は極めて重要です。どのチューリングマシンもハードコードされた規
則集を持っているにもかかわらず、万能チューリングマシンはテープから命令を読み取ることによっ
て、任意のタスクに適応できるデバイスが設計可能であることを示しています。こうした命令は、事実
上、私たちが日常的に使用しているプログラム可能な汎用コンピュータで実行されるのと同様、チュー
リングマシンのハードウェアを操作、制御するソフトウェアです
†
。有限オートマトンとプッシュダウ
ン・オートマトンは少し単純すぎるため、この種の本格的なプログラム能力をサポートできませんが、
チューリングマシンはちょうど十分な複雑さを備えています。
この章では、いくつかの単純なシステムについて調べて、それらがすべて万能であることを見てい
きます。ここで言う万能とは、チューリングマシン