22章アーキテクチャ上のリスクを分析する
すべてのアーキテクチャにはリスクが伴う。運用上のリスク(可用性、スケーラビリティ、データ整合性など)もあれば、構造上のリスク(論理コンポーネント間の静的結合など)もある。アーキテクチャ上のリスクを分析することは、アーキテクトにとって最も重要な活動の1つだ。リスクを継続的に分析することで、アーキテクトは、アーキテクチャ内の欠陥や構造劣化に対処し、是正措置を講じられる。この章では、リスクを定量化、評価、特定するための主要な手法とプラクティスを紹介し、リスクストーミングと呼ばれる活動を紹介する。
22.1 リスクマトリクス
アーキテクチャ上のリスクを評価する際に最初に発生する問題は、リスクを高・中・低どれに分類すべきかということだ。通常、こういったリスク評価には主観が多く入り込む。アーキテクチャのある側面が高リスクであるという意見を持つアーキテクトもいれば、同じ側面を中程度のリスクとする意見を持つアーキテクトもいる。ここで意見を強調したのは、リスク評価の主観性を際立たせるためだ。幸いなことに、リスクマトリクスを使えば、主観の度合いを減らし、アーキテクチャの個々の領域に関連するリスクを評価できる。
アーキテクチャのためのリスクマトリクス(図22-1)は、関係するリスクの全体的な影響度とそのリスクが発生する可能性という2つの側面を使用して、リスクを定量化する。それぞれの側面には、低(1)、中(2)、高(3)の評価がある。これらの数値をマトリクスの各グリッド内で掛け合わせることで、そのリスクを表す客観的な数値が得られる。1〜2は低リスク(緑)、3〜4は中リスク(黄色)、6〜9は高リスク(赤)とされている。白黒印刷した場合や色覚多様者への配慮として、網掛けを使用すると便利だ。 ...
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