訳者あとがき
本書の最大の特徴は、権限を持たない一般のエンジニアを対象としているという点です。DevOpsを実践する上で、組織の上層部の理解がある方がやりやすいのは間違いありません。しかし、すべての組織において上層部がDevOpsに対する取り組みに理解があり、積極的というわけではありません。すでに多くのDevOpsに関する書籍が出版されていますが、その多くは組織の上層部の協力を必要とするものです。そのため、上層部がDevOpsに積極的ではない組織において、一般のエンジニアが具体的にどういった行動によってソフトウェア開発を良くしていくのかについてまとめられた書籍はあまりないと思います。
そこに本書の最大の価値があります。本書はアンチパターンという形で、一般のエンジニアが日々遭遇するであろう問題を具体的なシナリオを通して取り上げ、その問題を解決するための具体的な行動を提示しています。おそらく多くの読者が、各章のアンチパターンのシナリオを読んだ時に、過去に似たような状況に遭遇したことがあると感じるでしょう。そうすることで、その後に提示される具体的な解決に向けた行動がすんなりと頭に入ってきます。
私の場合、2章が特に身につまされる思いをしながら読んだ章でした。煩雑で時間のかかる承認プロセスのある組織で働くのはエンジニアにとって苦痛そのものです。そのうえ、どんなに良い技術を使っていたとしても、承認プロセスが煩雑な組織では迅速なソフトウェア開発は実現できません。しかし、一方で一般のエンジニアには承認プロセスを改善するのは敷居が高いと考えている場合が多いと思います。そう言った意味で、承認プロセスについての改善を一般のエンジニアが取り組んでいくための指針を示した2章は本書の中でも私のお気に入りです。 ...
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