January 2023
Beginner to intermediate
336 pages
4h 59m
Japanese
本書ではここまで、オブザーバビリティを備えるシステムが持つ差別化要素、 オブザーバビリティを実現するために必要な技術的要素と、 オブザーバビリティがどのような技術的背景を持つかについて述べてきました。 オブザーバビリティとモニタリングとは、基本的に異なるもので、両者は異なる目的をもっています。 この章では、両者がどのように組み合わされるのか、また、組織内で両者をどのように共存させるか判断するための考慮事項について検討していきます。
多くの組織には、何年、もしくは何十年もの間に蓄積されたメトリクスデータとモニタリングの専門知識があり、本番環境のソフトウェアシステム周辺にセットアップされています。 ここまでの章で説明したように、従来のモニタリング手法は従来のシステムには適しています。 しかし、最新のシステムを管理する場合は、それらをすべて捨てて、オブザーバビリティツールで新たに始めるべきということでしょうか。 それは、大胆で軽率な行動です。 ほとんどの組織における共存のアプローチは、それらを採用した責任のもと決定されるべきだというのが真実です。
本章では、オブザーバビリティとモニタリングのそれぞれの長所、両者がもっとも適している領域、どのように互いを補完しているのかを検証し、それらを融合する方法について探ります。 すべての組織はそれぞれに異なっており、オブザーバビリティとモニタリングを共存させるためのレシピは、普遍的に規定できません。 しかしながら、オブザーバビリティはアプリケーションレベルの問題を理解するのに最適なものであり、モニタリングはシステムレベルの問題を理解するのに最適なものであるというのが、有用なガイドラインになります。 ...