19章オブザーバビリティのビジネス事例

オブザーバビリティは、組織内の特定のチームやビジネスユニットの中で始まることがよくあります。 オブザーバビリティの文化を広めるには、ビジネス全体のさまざまな利害関係者からのサポートが必要です。

この章では、オブザーバビリティのビジネス事例を説明することで、そのサポートがどのように行われるかを詳しく見ていきます。 組織によっては、従来のアプローチで対応できない切実な課題を克服するために、オブザーバビリティのプラクティスを導入するところもあります。 また、従来のプラクティスを変えるために、より積極的なアプローチが必要な場合もあります。 この章では、あなたがオブザーバビリティジャーニーのどこにいるかにかかわらず、あなたの会社でオブザーバビリティのためのビジネス事例を作る方法を紹介します。

まず、変革をもたらすためのリアクティブなアプローチとプロアクティブなアプローチの両方について見ていきます。 また、緊急事態ではない状況についても検討し、サービス停止のような壊滅的な場面ではなくても オブザーバビリティの導入が重要となるような状況について論じていきます。 そして、オブザーバビリティを支援するために必要な手順、さまざまなツールを評価し、 組織がオブザーバビリティを「十分に」備えるようになったと思ったときに、焦点を他の活動に移す方法について説明します。

19.1 変革をもたらすためのリアクティブなアプローチ

変革は困難です。多くの組織は、もっとも反発の少ない道をたどりがちです。 壊れていないもの(あるいはそのように思われているもの)を、わざわざ直すのは珍しいことでしょう。 歴史的に見て、本番環境は何十年もの間、オブザーバビリティがなくてもうまく回ってきました。 ...