第13章無線LANのパケット解析
無線LANの世界は、伝統的な有線LANとは少々違うものです。TCPやIPといった一般的な通信プロトコルを使う点は同じですが、OSI参照モデルの下層レベルへ行くと話が変わってきます。無線という特性のため、データリンク層が特に重要になってくるのです。時の流れの中で、ほとんど変わることなくきたイーサネットのような単純な有線プロトコルに代わって、急速な発展を遂げてきた802.11のような無線プロトコルについて考えなければなりません。そのため、アクセスできるデータとキャプチャする方法が変わってきます。
そう考えると、まるまる1章を無線LANでのパケットキャプチャと解析にあてても不思議ではないでしょう。この章では、パケット解析の観点で、なぜ無線LANが特別なのか、またこの課題をどう乗り越えるかについて、もちろん無線LANでのパケットキャプチャの実例を通じて説明していきます。
13.1 物理面での考察
無線LANで転送されているデータをキャプチャし、解析するときにまず考えなければいけないのは、物理的な転送媒体です。これまではLANケーブルで通信してきたため、物理層については考えてきませんでした。しかし無線LANでは目に見えない電波で通信を行い、パケットが空中を飛び交うのです。
13.1.1 一度に1つのチャンネルをキャプチャする
無線LANのトラフィックのキャプチャで一番特徴的なのは、無線の周波数帯域(スペクトラム)が共有されている媒体だということです。各クライアントが個別のLANケーブルでスイッチに接続している有線LANと異なり、無線LANの通信媒体はクライアント間で共有される帯域で、限りがあります。もっとも、ある無線LANが802.11の周波数帯域に占める割合はほんのわずかなので、複数の機器が周波数帯域の異なる部分を使い、同じ物理的空間において動作できるのです。 ...
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