14章大事な問題にフォーカスする
伊藤 直也
先日、小さなウェブ企業の開発マネージャーになったばかりの後輩と食事に行きました。いつも他人への気配り気遣いを欠かさない、気さくで信頼できるとても良い後輩です。話を聞いてみると、どうやら会社がいろいろとうまくいっておらず悩みを抱えているようでした。ひととおり状況を教えてもらったのち、彼に質問しました。「それで、マネージャーとして、君はどうしたらいいと思っているの?」
彼はしばらく考えたのち、こう答えました。
「エンジニアがもっと働きやすい環境を整えなければいけないと思っています」
予想通りの答えでした。違和感を感じた私は思い切って、胸の内を伝えました。
「エンジニアがもっと働きやすくなったら、今の君の会社の問題は本当に解消されるの?」
彼にとってこの指摘は予想外だったようで、絶句して、しばらく固まってしまいました。
第三者の私から見て、その会社が抱える問題は営業戦略や事業モデルの問題のように聞こえました。その根本にアプローチする必要があると感じました。しかし、彼はそれをエンジニアの開発組織の問題と捉えていました。
彼の方が正しかったのか、私の方が正しかったのは分かりません。しかし彼が絶句して、その後なにかに気づいたところを見ると、私の指摘にはそれなりに意味があったのではないかと思います。
チームが良くなれば事業やプロダクトが良くなるという思い込み
プロダクトや事業のことを伸ばすには、プロダクトや事業を伸ばすことを考える必要がある。
ごく、当たり前のことです。当たり前すぎて、何を言っているのかよく分からないかもしれません。けれども、多くのソフトウェア開発者やそのマネージャー、リーダーからはたびたび「チームが良くなれば、自己組織的なチームになれば、プロダクトや事業はうまくいく」という主張を聞きます。 ...
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