はじめに
通信とコンピューティングはあまりに密接に関わり合っているので、もはや同じものになってしまっているかもしれない。
――トレーシー・キダー、『The Soul of A New Machine』(邦訳『超マシン誕生』日経BP)
辺境から世界へ
16年前、私はモンタナ大学近くのミズーラにある独立系書店、ムーンクーガー・ブックスを経営していた。この建物にはかつてフレディーズ・フィード・アンド・リードがあり、そこで地元作家の本を読みながら豆腐のシェパーズパイをつまむことができた。フレディーズが閉店した8年後、私は長い間苦労してきたこの書店のオーナーから事業を買い取ったのだ。
2007年7月20日、パジャマ姿の12人の子供たちは、本屋の2階の読書スペースで『ハリー・ポッターと死の秘宝』を読みながらくつろいでいた†1。真夜中に正式な発売日を迎えたので、子供たちは続きを家で読むために帰った。1階の紫色のカウンターに置かれたかごの中には、しおりの隣に「禁断の本を読もう」†2バッジがあった。翌朝、ベアーズ・ブリューコーヒーの魅惑的な香りが、コーヒーショップと共有するドアを通じて漂ってきた。
[†1] 訳注:『ハリー・ポッターと死の秘宝』の発売日は2007年7月21日のため、7月20日0時までは購入ができなかった。
[†2] 訳注:検閲に抗議し、表現の自由や多様な視点の重要性を訴えるスローガン。特定のテーマ(政治、宗教、人種、性など)を理由に禁止された本を読むことを通じて、批判的思考や文化的理解を深める意義を強調している。
書店のあるミズーラは160万エーカーの国有森林に囲まれていた。休みの日はバックパックを肩にかけて森林に赴き、ヘラジカの新しい足跡に沿ってハイキングをした。また時にはバイク(バイク好きのために言うとBMW ...
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