1章システム思考とは何か?
システム思考を欠いたビジョンは、現在から未来へ移行するために克服すべき力を深く理解しないまま、美しい未来像を描くだけに終わる。
――ピーター・センゲ『The Fifth Discipline』(Currency、邦訳『学習する組織』英治出版)
この本を読めば、システムとして考える術を習得できると思うかもしれない。しかし、それは誤解だ。システム思考とは実践であり、見方であり、フレームワークであり、新たに生まれつつある言語である。さらには、人生の一つのあり方と言ってもよいかもしれない。
テニスに関する本を読んでも、テニスができるようにはならない。外に出て実際にテニスをする必要がある。システム思考も同じだ。思考を変えるためには経験が必要である。本書を読んでいる間に、ぜひ実際のシステムに触れてみてほしい。
本書では、システムについて考えるための体系(システム)を扱っている。本書を読むことで、文脈、指針、語彙、そして実践方法を得られるだろう。「物事をシステムとして捉えて考える」世界とはどのようなものか? その世界に向かうにはどう進めばよいのか?
そこでは何をすればよいのか? なぜそれが重要なのか? 成功するためにはどのような実践、原則、そしてツールが必要なのか?
私が気に入っているシステム思考への簡単な導入を図1-1に示そう。
図1-1 システム思考者のツール(出典:emmasegal.co、イラスト)
技術職の専門家にとって、本書はソフトウェアを考える視点から、ソフトウェアのシステム全体を考える視点へ向かう旅である。同時に、そしておそらくそれ以上に重要なのは、人と技術を切り離して考える還元主義的な視点から脱却する旅でもあるということだ。 ...
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