
149
6
章
SciPy
で行う線形代数
マトリックスが何なのか、教わることは誰にもできない。自分の目で見るしかないのだ。
―
モーフィアス『マトリックス』
FFT
を解説した「
4
章 周波数と高速フーリエ変換」のように、本章でもエレガントな手法を取
り上げます。線形代数は、科学計算の基礎の大部分をなすものです。本章では線形代数を使いこな
すために
SciPy
に用意されているパッケージに焦点を当てていきます。
6.1
線形代数の基本
線形代数そのものを学ぶ場所として、プログラミングの本の
1
つの章では不十分なので、読者
のみなさんが線形代数の概念にすでに慣れていると仮定して話を進めます。最低でも、線形代数に
はベクトル(順番が付けられた数の集合)と、ベクトルに行列(ベクトルの集合)を掛け合わせ
て行うベクトル変換が関わっていることを知っている必要があります。ここまでの話がちんぷん
かんぷんなら、本章を読む前に、線形代数入門の教科書を手に取ってみてください。
Gil Strang
の
『
Linear Algebra and Its Applications
』(
Pearson, 1994
、邦題『線形代数とその応用』産業図書)
は、特にお勧めです。でも、心配は無用で、入門的な知識だけで十分です。実際の操作は比較的単
純なものに留めたまま、線形代数の威力を紹介していきます。
なお本章では、線形代数の慣習に合わせるため、
Python
業界の表記法の慣習を破っています。
通常、
Python
では、変数名は小文字で始まることになっています ...