Lean Analytics ―スタートアップのためのデータ解析と活用法
by Alistair Croll, Benjamin Yoskovitz, 角 征典, 林 千晶, Eric Ries
4章「データ駆動」対「データ活用」
データは強力だ。中毒性があるので、なんでも分析したくなってしまう。だが、人間はデータに頼らずに、無意識にやっていることがほとんどだ。過去の経験や実績から判断しているのである。いちいち厳密に分析していては、気が休まらないだろう。たとえば、朝出掛ける前に、その日にはいていくパンツのA/Bテストをすることはない。そんなことをしてたら、いつまでたっても玄関から出られないだろう。
リーンスタートアップは「データ駆動」に寄りすぎているという批判がある。データの奴隷になるのではなく、道具として利用すべきだ。データ駆動ではなく、データ活用であるべきだ、というような主張だ。怠け者が面倒な仕事をやりたくないだけなのかもしれない。だが、彼らの言い分もわからないでもない。いくらデータを使用していたとしても、一歩下がってビジネスの全体像を見渡さなければ、ビジネスを部分的に最適化してしまう。それでは危険だ。もしかすると致命的かもしれない。
オンライン旅行サービスのOrbitzは、Macユーザーのほうが高価なホテルや部屋を予約することを発見した。このことについて考えてみたい。CTOのロジャー・リュー《Roger Liew》が、ウォールストリートジャーナル紙でこのように述べている。
「4つ星や5つ星のホテルを予約し、高価な部屋に滞在するのは、PCユーザーよりもMacユーザーのほうが40%高いことがわかっています。これはデータで確認できます」†1
無関係に思える顧客データ(ここではサイトの訪問者がMacを使っているかどうか)をアルゴリズムが処理すれば、新しい収益の機会を得ることができる。だが、売上とは関係ない顧客データに最適化すれば、予期せぬ結果を招くかもしれない。場合によっては、評判を落とす可能性もある。データ駆動の機械的な最適化には、人間の判断が加わっていない。そのことが問題を引き起こすのだ。 ...
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