Lean Analytics ―スタートアップのためのデータ解析と活用法
by Alistair Croll, Benjamin Yoskovitz, 角 征典, 林 千晶, Eric Ries
28章基準値がないときに何をすべきか
これまでに役に立つ基準値の説明をしてきたが、ここまでの7つの章を読んでいれば、これらの数値は始まりにすぎないことがわかるだろう。たとえば、「チャーンを2.5%未満にしたい」「メディアやUGCサイトでは、ユーザーに17分間滞在してもらいたい」「コンテンツに積極的に関わっているのは利用者の2.5%未満である」「ユーザーの65%が過去90日間でモバイルアプリの使用を停止している」といった指標を考えてほしい。多くの指標には「正常値」が存在しないのである。
現実的なやり方としては、市場や製品に合わせて評価基準をすばやく調整していくことになるだろう。それで問題ない。ただし、自分の能力に評価基準を合わせてはいけない。自分の能力を評価基準まで高める必要がある。
ほぼすべての最適化は収穫逓減になっていく。たとえば、ウェブサイトの読み込み時間を10秒から1秒にするのは簡単だが、1秒を100ミリ秒にするのは難しい。10ミリ秒はほぼ不可能である。やるだけムダだ。こうしたことは、多くの改善活動に当てはまる。
ここでヤル気をなくしている場合ではない。実際にはこのことが役に立つからだ。結果をプロットしながら極大値に近づくと、漸近線が見えてくる。つまり、改善活動が生み出す成果が減少したときが基準値なのである。それがわかれば、他の指標に移動することもできる。
訪問者に入会を促すための30日間の最適化を考えてみよう。図28-1を参照してほしい。訪問者1,200人のなかでサインアップしてくれたのは、最初は4人だけだった。コンバージョン率は0.3%。ひどい数値だ。トラフィックの増加は緩やかだが、継続して入会の調整やテストを行った結果、月末には1,462人の訪問者の8.2%が入会してくれた。 ...
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