訳者まえがき

本書は “Becoming SRE: First Steps Toward Reliability for You and Your Organization” (2024年、O’Reilly Media、ISBN9781492090557)の日本語訳です。

日本では、『SRE サイトリライアビリティエンジニアリング』(2017年、オライリー・ジャパン、ISBN9784873117911)(以下、SRE本)が出版された頃から、「サイトリライアビリティエンジニアリング」(以下、SRE)が広く知られるようになりました。それから7年が経過し、日本においても多くの企業がSREの実践に取り組むようになりました。しかしながら一部では、SREという名称だけが独り歩きし、その実態が本来意図するところとは違った取り組み方になってしまっている事例も見受けられます。

SRE自体は、Google社内で2000年後半より発展し、そこから先の書籍の出版まで、およそ10年の期間を経てから初めて一揃いのプラクティスが公開されました。一方で、DevOpsが同様の期間にコミュニティで広く議論が交わされ、主に開発プロセスに注目した形で多くの共通認識が持たれるように成りました。結果として、SRE本が登場して、突然多くのプラクティスが公開され、これまでDevOpsを実践してきた人々に驚きや歓迎とともに混乱ももたらしました。特に混乱や誤解をもたらす理由となったのは、SREとして紹介されたプラクティスがDevOpsの文脈でも紹介されてきたことがあったことです。これにより、中には「要するにDevOpsを新しい呼び方をしただけのものであろう」という認識をされる人もいました。さらに裾野が広がると、運用全般を指してSREと呼ぶような事例も多く見かけるようになりました。 ...