1章イントロダクション
私はこれまで「いつかは自分で戦略を立てるチャンスが欲しい」と願う多くの優秀な人たちと共に働いてきました。しかし、私が本書であなたに(そして彼らにも)伝えたいことは、「待つ必要なんてない」ということです。戦略は経営幹部の専売特許品ではありません。戦略は、状況に応じて適切な判断を下すための実践的なツールであり、すべての人に開かれたものなのです。
たとえ戦略を立てたいと思っていないとしても、戦略が必要な状況はいつもあなたを取り巻いています。私自身が初めて戦略を本格的に意識したのはUberでサービスマイグレーションを担当するチームのマネジメントをしていた時で(ドキュメント16-1)、雪崩のように押し寄せるサポートリクエストを、必死に捌くのに明け暮れていた時でした。それ以降も、あらゆる職場で戦略が必要な様々なシーンに直面してきました。具体的には、StripeのIndex買収(ドキュメント22-4)や、Calmがプロダクト志向のエンジニアリング企業であり続けるための取り組み(ドキュメント21-1)などです。なかには、どの企業に行っても繰り返し出くわす共通の戦略的課題もありました。「巨大なモノリシックコードをどう分割するか」(ドキュメント20-1)といった課題です。
本書は、エンジニアリング戦略、つまり、エンジニアリング分野において適切な判断を下す方法に焦点を当てています。ここでいう「エンジニアリング」とは、単にソフトウェアを書くという技術的な行為だけでなく、あなたの会社の「エンジニアリング部門」や「エンジニア組織」が抱える課題や関心事全体を指します。途方もなく大きいトピックであると思ったのなら、本書で扱いたい範囲を正確に理解してくれているからでしょう。しかし、手に負えないものだとは思いません。 ...
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