5章あなたの懐刀
「この前話して以来、あらゆる場面が有限ゲームと無限ゲームに見えるんです。ちょっとした執着になってきています」とヴィックが言います。
「どういう意味でしょう?」とあなたは尋ねます。「つまり、プロジェクトを違った視点で見るようになったということですか?」
「いえ、プロジェクトだけでなく、本当に至るところでそうなんです。昨夜は皿洗いをしていて気づいたんです。私は夕食の準備という有限ゲームをこなしながら、同時にキッチンのエントロピーにあらがうという無限ゲームをしているんだなって」
あなたはつい笑ってしまいます。「ああ、それはお気の毒です。家事を手伝ってくれるプレイヤーをもっと集めたほうがよかったですね」
あなたの反応に、ヴィックは笑顔を見せます。「子どもたちを説得するのって大変なんですよ。それはさておき、前回一緒にやったコントラクトの演習のことも考えていたんです。2人で一緒に組織をリードできるという考えは気に入っているんですが、実際にどう実現できるかがよくわからなくて。結局は、2人とも実質的に同じ仕事をすることになってしまうんじゃないでしょうか?」
「同じ仕事というのは、どういう意味でしょう?」
「つまりですね、このようにパートナーとして動くと、結局は2人が同じことをするようになりませんか? 同じ会議に一緒に出席しますし。私の役割はどこで終わって、あなたの役割はどこから始まるのかな、と。それに、私はあなたにレポートしているわけですから、いずれにしろ最終的にはあなたがすべての決定を下すことにならないですか?」
「なるほど、鋭い質問ですね。でも今回は答えられそうです。あなたは私の右腕エンジニアになれるんです。あなたの役割を表すアーキタイプ(類型)の1つで、私たち2人にとっても、そして周囲の皆にとっても適した形になると思います」 ...
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