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行動を変えるデザイン ―心理学と行動経済学をプロダクトデザインに活用する
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行動を変えるデザイン ―心理学と行動経済学をプロダクトデザインに活用する

by Stephen Wendel, 武山 政直, 相島 雅樹, 反中 望, 松村 草也
June 2020
Beginner to intermediate
464 pages
5h 31m
Japanese
O'Reilly Japan, Inc.
Content preview from 行動を変えるデザイン ―心理学と行動経済学をプロダクトデザインに活用する

II

適切な成果、行動、

アクターを見つけ出す

 あなたの会社には、つくりたいプロダクト、価値を届けたい人たちについてのビジョンがあるとしよう。その新しいプロダクトあるいは機能は、ユーザーが何かをする(例えば喘息の発作を止める)のを助けるためのものだ。市場調査は実施済みで、プロダクトが解決しうるユーザーニーズの存在もわかっている。しかし、実際にどんな方法でユーザーの行動変容を助けるのかは明らかではない。

 第Ⅱ部ではこのビジョンを取り上げ、それを具体的かつ現実的にしていこう。まず最初に、プロダクトによって実現したい現実世界の測定可能な成果を特定する(例えば、喘息による入院や死亡を減らすこと)。続いて、プロダクトが助けたい相手が誰かを特定する(例えば、大気汚染のひどいカリフォルニアのセントラル・バレーに住む25~55歳の喘息患者)。最後に、彼らが自分たちの目的を達成するための行動が何かを特定する(Propeller Health*1のような自動喘息トラッカーを利用する、など)。

 具体化する目的はいくつかある。第一に、何をつくるべきかの明確な指針をつくり、プロダクト開発チームに伝えられるようにすること。第二に、ユーザーや人々の行動に関する自分たちの暗黙の前提を明らかにして検証すること。第三に、誤ったプロダクトをつくって時間を無駄にしないように、将来起こりうる失敗を現在に引き寄せる、つまり「早く失敗」すること。これはリーンスタートアップと同じアプローチだ。

 「はじめに」の中で述べたように、行動変容デザインの原則は、各企業の既存のプロダクト開発のプロセスに適用できる(どんなプロダクト開発プロセスでも、例えば「探索」フェーズは何らかのかたちで含まれている)。とはいえ、どこから始めたらいいかわからない人のために、わたしは一例としてシンプルで反復型(iterative)の開発サイクルを提案した。 ...

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ISBN: 9784873119144Other