第6章
行動を構造化する
バラク・オバマは医療費負担適正化法(いわゆる「オバマケア」)の両院通過にむけた戦いの渦中にいた。彼のチームは、立法を支持してくれる人たちをラジオ番組の電話出演に動員しようとしていた。前回の選挙運動以降、チームはオバマ支持者をキャンペーンに巻き込む素晴らしい一連のオンラインツールを構築していた。支持者たちはそのツールを使うことで、投票してくれそうな人たちへの“電話がけ”から政治献金まで自分でできるのだ。
しかし、誰がラジオ番組に電話をかけるのか。多くのアメリカ国民にとって番組に出ることは、不慣れな上にぞっとする挑戦だ。しかも、今までにない複雑な法律について話さなければならないなんて*1。
では、実際にこのキャンペーンはどう行われたのだろうか? [図6-1]は2010年2月頃のキャンペーンの動員プラットフォームとなったウェブサイトのスクリーンショットだ。オバマのチームは、選挙ボランティアがやるべき行動をうまく構造化している。まず、ユーザーにしてほしいことを、扱いやすい3つのかたまり(チャンク)に分けた。次に、一部のプロセスを自動化した。例えば、次にかけてほしい番組の電話番号が自動で表示されるようにした。他にも、電話中に議論してほしいテーマの要旨を提示するなど、行動をシンプルにし、プロセスの一部を「デフォルト」にした。さらに指示を明確にし、ポジティブに励ました。
人が実際に行動できるように、行動を構造化する。これぞまさに、この章の内容だ。ゴールとなる行動を一度構成要素に分解し、シンプルにし、わたしたちが知っているユーザーに合わせて仕立て直す。このようにして、初めから終わりまでのビヘイビアプランをつくる。このビヘイビアプランがあることで、プロダクトを使うとユーザーがどのように行動を変えられるのかを見通せるようになる。 ...
