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行動を変えるデザイン ―心理学と行動経済学をプロダクトデザインに活用する
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行動を変えるデザイン ―心理学と行動経済学をプロダクトデザインに活用する

by Stephen Wendel, 武山 政直, 相島 雅樹, 反中 望, 松村 草也
June 2020
Beginner to intermediate
464 pages
5h 31m
Japanese
O'Reilly Japan, Inc.
Content preview from 行動を変えるデザイン ―心理学と行動経済学をプロダクトデザインに活用する

7

環境を構築する

 わたしの妻が持っているFitbit One。この小さな活動量計は服の上に留めておくと、スクリーンに運動の進捗を表示し、PCやスマホに詳細情報を送信してくれる。

 Fitbit Oneには運動を最適な方法で促す機能がたくさんある。とても面倒で、運動が億劫になってしまう2つのこと、つまり、どれくらい運動したのか記録することと、その情報をPCやスマホへ送信することを自動化してくれる。これが「行動の構造化」だ。面倒な作業をユーザーからプロダクトへ移している(いわゆる「チート」をしてくれている)。

 あるいは、行動自体を変えるだけでなく、「運動する」という行動をとるように促してくれたりする。例えば、

運動するようにリマインドする。ランダムに「おしゃべりな」メッセージを表示する。初めて「わたしを歩かせて(Walk Me)」という表示を見たときのことを思い出すとニヤッとしてしまう。

すぐに有意義なフィードバックを返す。わたしの妻が活動量計を入手して間もなくのことだ。彼女は「9,945歩」と表示された画面を見るやいなや、10,000歩の目標を達成しようと部屋中を走り始めたのだ。

 このような戦術によって、ユーザーが意思決定しやすい環境を構築できる。これが、本章のトピックだ。

使える戦術

 これまでのところで、ターゲットアクションを完了する上でユーザーが実行すべきアクションシークエンスは明確になっているだろう。あなたはMVA(必要最低限のアクション)を見つけ、その一部を自動化し、プロセスを短くし、負担を軽減し、ユーザーにとって馴染みやすいものにしてきた。

 ここでは、アクション自体をもう変えることができない、と仮定しよう。その成功のためには、ユーザーは、X、Y、Zをする必要がある。ユーザーがアクションを実行しやすくするために、何ができるのだろう。1つは、行動を促す環境を構築することだ。ここでいう「環境」には、次の2つの意味がある。 ...

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ISBN: 9784873119144Other