行動を変えるデザイン ―心理学と行動経済学をプロダクトデザインに活用する

第5章

適切なターゲットアクションを選択する

　習慣や経験、ものごとへの反応は人それぞれだ。行動変容をデザインするには、こうした一連の習慣、経験、反応に基づいて、ユーザーに適した行動を見つける必要がある。それは、ユーザーの目標達成を支援するのに有効なものでなければならない。また同時に、ユーザーニーズとプロダクトをつくる企業のニーズとのバランスを取らなければならない。それにより、収益を上げ、デザインやエンジニアリングの資源を効率よく配置することができる。

　第４章では、企業がプロダクトを通じて達成したいことを明確にし（「人々が体重を減らすこと」のようなターゲットアウトカム）、それを実現するためにユーザーがとりうる行動の一覧を作成した（例えば、小さいお皿で食事をすること、より運動すること、ダイエットすること、など）。ターゲットアクションの最初の一覧をつくる際には、ユーザーそのものについて敢えてあまり議論しなかった。それは、人が「いかにもしそうな」ステレオタイプの行動を除外するためだ。

　今や、そのあり得る行動の一覧を実際のユーザーと突き合わせるときがきた。一覧を絞り込み、自社およびユーザーニーズに沿ってそれを評価していこう。その過程で、ターゲットユーザーについての生々しい情報を集めることで、プロダクト自体のデザインに役立てよう。

ターゲットユーザーを調査しよう

　ユーザーの行動変容を支援するために、プロダクトチームはユーザーがもともとどんな状態なのか、そして、そこから現実的に変えることができ、変える価値のある行動は何かを理解しないといけない。このプロセスでは、特徴的な３つの質問にフォーカスしよう。

●プロダクトと関わるユーザーは誰か？

●その（潜在）ユーザーは日々何を考え、何をしているのか？ ...