
本書の初版が刊行されて10年以上が経過しました。その間にシステムとビジネ
スの世界にも予想だにしていなかった大きな地殻変動が起きました。ビッグデー
タという言葉はバズワードの域を脱して、企業の意思決定に使われるようになり、
データ分析を専門に行なうデータサイエンティストという職種も登場しました。ク
ラウドの利用はもはや当たり前になり、むしろその応用方法を考えるハイブリッド
クラウドやマルチクラウドの時代へと入りつつあります。そして何より、生成 AI
を中心とするAIの波があらゆる業界に押し寄せています。しかし、その中でも変
わらなかったことがあります。それがデータベースの重要性です。変わらないど
ころか「データドリブン経営」という言葉に表わされるように、データとそれを管
理するデータベースの存在感は、あらゆる分野でますます増してきていると言えま
す。
本書は、数あるデータベースの中でも中心的な位置を占めるリレーショナルデー
タベースにおける設計についての書籍です。KVS やドキュメント型データベースと
いった、いわゆるNoSQL については本書では扱いません。そうしたデータベース
群については、巻末の参考文献を参照してください。「データベース設計」と一口
に言っても、その内容は多岐にわたります。このジャンルの書籍は、大きく以下の
3種類に分類できます。
❶は、いわゆる正規化や ER図といった道具を使ったデータのモデル設計です。
一般的に「データベース設計」と聞いて、多くの人が思い ...