クラウドFinOps 第2版 ―協調的でリアルタイムなクラウド価値の意思決定
by J.R. Storment, Mike Fuller, 松沢 敏志, 風間 勇志, 新井 俊悟, 福田 遥, 門畑 顕博, 小原 誠
4章FinOpsの共通言語
組織内の各部門は、それぞれの専門分野特有の用語を使い、クラウドの請求データを異なる視点から見ており、達成すべき目標への異なる動機を持っていることでしょう。本章では、それぞれの部門が用いている特有の用語について理解し、理解をそろえて信頼を促進するために組織内での共通用語集を作成することで、いかにより効果的な部門間の協働を可能にできるかについて説明します。
雲の上から(Mike Fuller)
FinOpsの実践が始まる前のAtlassianでは、各部門が自部門のコストを追跡し、どの請求書のどの部分に対して責任があるかを決めるのに各部門がそれぞれ独自の方法を用いていました。私が最初に行ったことは、レポートを作成して事業部門に送ることでした。しかしそれは、きわめて重要なステップを落としてしまっていたのです。各部門は、従来彼らが行ってきたように、自分たちの視点でレポートを読んでいました。私のレポートはクラウドの支出を明確にするどころか、混乱させてしまったのです。私がレポートで用いた用語は理解されず、レポートの妥当性の評価についてもそれぞれの部門で全く一致を見ないような状況に陥ってしまいました。
この状況を目の当たりにして、私は共通言語が必要だと気づいたのです。私に必要だったのは、組織内に広くFinOps用語を理解させ、自分たちの支出と最適化の追跡に全部門が使用できる共通のレポート一式を作成することでした。クラウドに特有のインフラ用語が散りばめられていた私の以前のレポートは、財務部門に混乱とフラストレーションを招いていました。一方、エンジニアリング部門では、ファイナンス的観点からクラウドを扱ったレポートが同様の状況をもたらしていました。
FinOpsの初期段階にある企業は、日次コストのシンプルな可視化によって、各部門にそれぞれの支出を知らせ始めることが典型的です。しかし、FinOpsを始めたばかりの方々のみならず、FinOps熟練者にとっても共通用語集は重要です。クラウドでの成熟度が高まるにつれ、費用報告に使用される用語の量も増えます。FinOpsの実践におけるケイパビリティの領域が広がり、消費するクラウドサービスが増え、報告内容の粒度がより細かくなるにつれて、それぞれの専門用語が増えていくことになります。その結果、曖昧な(または重複する)用語を使用する可能性が高まりますが、それは混乱を招いたり、データへの信頼低下を生じさせかねません。FinOpsのステージが進むと一貫性はさらに重要になります。それは、すべてのレポートの相互の関連をわかりやすく示し、また各部門に責任を持たせるためです。ファイナンスやエンジニアリング特有の難解な専門用語は避けて、標準化された用語を使うように合意形成することを目指しましょう。 ...
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