ここ数年の間に CSSは、 2004 年ごろに JavaScriptが経験したのと同じ
ような変革を迎えました。能力も限られていたきわめてシンプルなスタイ
ル設定言語から、草案も含めると 80 以上に上る W3Cの仕様から構成され
る複雑なテクノロジーへと進化しました。そして独自のエコシステムが生
まれ、専門のカンファレンスが開催され、固有のフレームワークやツール
も開発されました。このような長足の進歩には、仕様のすべてを1人で把
握するのが事実上不可能になったという側面もあります。 CSSを定義した
W3Cの CSS作業グループでさえ、 CSS のすべての側面に精通しているメ
ンバーはいません。すべてをそこそこ知るということさえ困難です。ほと
んどの作業グループのメンバーは特定の仕様にのみ詳しく、自身が関わら
ない仕様についてはほぼまったく知らないというのが実状です。
2009 年ごろまでは、言語自体への知識は CSSに関する専門性を測る指
標ではありませんでした。CSSに対して真剣に取り組むなら、言語への知
識は当然の前提でした。ブラウザのバグと回避策をどれだけ知っているか
という点を基準にして、能力が評価されていました。しかし年月は流れ、
ブラウザは標準に対応した設計を行うようになったため、浅薄なブラウザ
依存のハックは今やひんしゅくを買っています。避けられないような非互
換性の問題も残されてはいますが、今日ではほとんどのブラウザが自動更
新の仕組みを取り入れており状況の変化がとても速くなっています。その ...