October 2020
Beginner to intermediate
224 pages
2h 18m
Japanese
顧客やユーザーは、周りの人たち (コミュニティ、家族、友人など) の影響を受けます。また、自分たちが使えるテクノロジーやマーケットに出回っているテクノロジーの影響も受けます。顧客やユーザーは孤立した存在ではないので、周りの影響を受けて要望やニーズが変化します。同じように、そういった要望やニーズに対処する機会も継続的に進化していきます。このような環境を直接コントロールするのは企業の手に余ります。私たちにできるのは、どう行動するかをよく知るために環境を理解することだけです。
同時に、企業も自らの制約に直面します。価値の最大化を実現するには、組織が適切な人、適切なプロセス、適切な方針、適切な戦略、適切な文化を持っている必要があります。顧客側の制約や影響のほとんどは私たちのコントロールの外側にありますが、ビジネスに関しては制約とそれをどう扱うかは自分たちで完全にコントロールできます。これらの制約が厳しすぎると、システムの両側で価値が犠牲になります。
たとえば、多くの企業は厳格な開発プロセスとケイデンス†1に従っていて、実験する機会がありません。私がトレーニングやワークショップの開始時に、「最後にリリースしたもののふりかえりをしている人は手を挙げてください」と言うと、通常15〜20%の人が手を挙げます。そこで「では、リリースしたものがうまくいったかはどうやってわかりますか?」と質問します。答えは、期限に間に合ったとかバグのないコードだったといったものになるのが通常です。
これは企業がアウトカムではなくアウトプットに最適化してしまっている良い例です。アウトプットとは簡単に数えられるもののことです。プロダクトの数とか機能の数、リリースの回数や開発チームのベロシティといったものです。 ...