23章予算編成
組織で、アウトカムよりもアウトプットを重視してしまう考えをもたらす要素の1つに、予算編成のやり方があります。あるグローバル金融サービスの会社のCTOが私にアドバイスを求めたことがあります。彼は、組織で出世していくうちに、直面している問題の多くが予算編成の結果によるものであることに気づいたのです。
彼は私にこう説明しました。「毎年私たちは年次計画を作ります。マネジメントが、VP全員に何をするつもりなのかを尋ねます。それぞれのVPが自分のところのプロダクトマネージャーに事業計画書を作らせて、どれにお金を使うか選びます。事業計画書は少ないデータをもとに書かれていて、突飛な見積りが含まれていることもあります。VPたちはそれらをまとめて巨大な年間ロードマップを作り、それをチームに割り当ててプロジェクト予算をつけます。その年の終わりに、ロードマップに書かれた内容を提供していない場合には、翌年の予算が減らされます」
「メリッサ、これが何を意味するかわかりますか?」と彼は質問しました。「つまり、チームがプロダクトを安く作る方法を見つけたり、そのプロダクトは作るべきではないとわかったりしても、とにかく作ってしまうんです。予算を全部使わないとペナルティがあるからです」
狂気の沙汰です。年間ベースの予算のせいで、チームがその年の途中で方向転換する能力を完全に奪ってしまっています。組織自体が高速な学習と繰り返しを阻害しているのです。
プロダクト開発に予算を割り当てるときには、ベンチャーキャピタリスト(VC)のように考えるのが賢明です。スタートアップは投資家に対して、ビジョンと、そのビジョンがマーケットで生き残って利益を出せることを証明できるようなデータを説明します。彼らはVCのところに行って、こう言います。「今ここにいて、次の目標はこれです。その目標の達成にお金が必要です」 企業が利益を出せるようになるまでは、企業が次のレベルに進むのにVCからの投資が役に立ちます。ですが、何らかの理由で次のレベルに到達できない場合、VCは資金提供を止めて、投資対効果を得られる別の会社に資金を投資することになります。 ...
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