訳者まえがき
本書は、Melissa Perri著『Escaping the Build Trap: How Effective Product Management Creates Real Value』(ISBN:978-1491973790)の全訳です。原著の誤記・誤植などについては著者に確認して一部修正しています。
原著タイトルにある「ビルドトラップ」という単語は多くの人にとって耳慣れない言葉だと思います。私も原著を読むまでは知りませんでした。それもそのはず、この「ビルドトラップ」は著者メリッサが提唱したものなので当然です。
本書の定義によると、ビルドトラップとは、以下のような状況を指します。
- 組織がアウトカムではなくアウトプットで成功を計測しようとして、行き詰まっている状況
- 実際に生み出された価値ではなく、機能の開発とリリースに集中してしまっている状況
こういった状況は、開発手法がウォーターフォールなのかアジャイルなのかに関係なく起こります。
私はふだんアジャイル開発のコーチングやトレーニングをしていて、さまざまな質問を受けます。そのなかで、チームのベロシティを上げる方法や、たくさんあるプロダクトバックログ項目をどうやったら決められた期間内に完成できるか、どうやって効率的に作業を分担するのかといったことをよく聞かれます。本書を踏まえて考えると、このような質問はビルドトラップの兆候と言ってよいでしょう(これからは「それ、ビルドトラップです!」って回答できますね)。
一方で、アジャイルソフトウェア開発宣言(アジャイルマニフェスト)†1の背後にある12原則†2を見ると、「顧客満足を最優先し、価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供します」と書かれています。それにも関わらず、すぐに作ることに目が行ってしまいがちなのです。これはアジャイルに慣れているチームでも同じです。機能を大きくして、たくさん作ってしまいます(そして不要な機能を消すこともまれです)。 ...
Become an O’Reilly member and get unlimited access to this title plus top books and audiobooks from O’Reilly and nearly 200 top publishers, thousands of courses curated by job role, 150+ live events each month,
and much more.
Read now
Unlock full access