3章プロジェクト / プロダクト / サービス
戦略的思考への転換には、プロダクト開発に対する考え方の転換も必要です。多くの企業は、プロジェクトベースの開発サイクルを利用しています。このサイクルでは、実行する作業の範囲を設定し、締め切りやマイルストーンを決めてから、チームに作業を依頼します。プロジェクトが終わると、チームは別のプロジェクトに取りかかります。こういったプロジェクトの多くで、アウトカムを計測する独自の尺度を持ってはいますが、これは上位の戦略と整合してはいません。
世の中には、プロジェクトマネジメント型の思考を促進するような多くのフレームワークや認定資格があります。たとえば、PRINCE2(PRojects In Controlled Environments, 2nd version)†1やPMI(Project Management Institute)によるPMBOK(Project Management Body of Knowledge)†2などです。ビルドトラップにはまっている企業では、こういったフレームワークとプロダクトマネジメントのフレームワークを混同していることがよくあります。
[†1] 訳注:欧州や国連のプロジェクトで使われるプロジェクトマネジメント手法で、英国商務局がもともと開発した
[†2] 訳注:アメリカの非営利団体PMIが取りまとめているプロジェクトマネジメントの知識体系で、世界各国で利用されている
プロダクトマネジメントを理解し、それがプロジェクトマネジメントとどう違うのかを理解するには、まずプロダクトとは何なのか、それがなぜ重要なのかを定義する必要があります。
以前に説明したように、プロダクトとは価値を運ぶものです。プロダクトは顧客やユーザーに価値を届けます。企業は必ずしも毎回新しいものを作る必要はありません。ハードウェア、ソフトウェア、消費財など、ユーザーの価値を達成するのに人手の介在が必要ないものであれば、何でもプロダクトです。Microsoft ...