4章プロダクト主導組織
プロダクト主導の企業は、自分たちのプロダクトの成功が企業の成長と価値の主要な原動力であることを理解しています。そういった企業は、プロダクトの成功に重点を置いて組織を構成し、戦略を立てます。これによってビルドトラップにはまらないようにしています。
しかし、プロダクト主導でないならほかに何があるというのでしょうか。多くの企業は、プロダクト主導ではなく、セールス、ビジョナリー、もしくはテクノロジー主導です。これらはいずれもビルドトラップにはまる可能性があります。
4.1 セールス主導
セールス主導の企業では、プロダクト戦略は契約によって決まります。データプラットフォームの会社で30個の機能があって、誰も使っていなかった例を思い出してください。これはセールス主導の企業の例です。プロダクトロードマップと方向性は、顧客への約束によって決まります。全体の戦略に沿っているかどうかは関係ありません。
小規模な企業の多くは、最初はセールス主導でスタートします。それは構いません。スタートアップでは、最初の大口顧客と契約を締結して、運営に必要な収益を得ることが必要だからです。したがって顧客と密にやりとりして、プロダクトロードマップを定義し、要望を全部取り込んで、時には特別なカスタマイズをします。ですが、このやり方は長くは続きません。50とか100以上の顧客数になると、それぞれの顧客にあわせて特別なものを作ることなどできません。特注の代理店にでもなるなら別ですが……。そうなると、戦略を変えて、カスタマイズなしで全員が使えるような機能を作るという戦略に変えていかなければいけません。
それでも、個別対応を望んでいない企業の多くが、本来よりもはるかに長い期間にわたってセールス主導で進めています。セールスプロセスがプロダクト戦略の先を行っていて、プロダクト側はずっと約束に追いつくようにしなければいけなくなっています。このせいで、プロダクトチームは戦略を立てたり、会社を成長させる可能性のあるものを見つけたりする余裕がなくなっているのです。 ...