5章虫の知らせ
8階のカフェテリアでジェームスにばったり会いました。数週間ぶりのことです。何年も一緒に仕事をしてきた相手ですが、今はやっていることが違うので、そういうこともあるものです。
「やあ、ジェームズ」
「やあ! 久しぶりだね、ちょうど君のことを考えていたんだ」
「本当に? また、どうして?」
「ランディが昼のミーティングで君を非難してたんだよ。プロジェクトが1ヶ月遅れているってね。大丈夫?」
ジェームズが質問をし終わる前に、自分の中で何かが起きるのを感じています。ランディに非難されたことへの感情的な反応でもなければ、1ヶ月の遅れを説明するロードマップのようなものでもありません。「前にもこんなことあった」という感覚です。代わる代わる別々のお偉方に非難されるのです。しかも、皆の前で。非難してくる相手にはまったく関係ないことなのに。「何を考えて、こんなことを言ってくるのだろう?」 まだ何が起きているのかはわかりませんが、何か覚えのある嫌な予感がします。
これが、虫の知らせ†1です。
[†1] 訳注:「虫の知らせ」の原文は"Spidey-Sense"です。これはアメコミヒーローであるスパイダーマンが持つ超能力(スパイダーセンス)で、危険を察知する能力です。
5.1 虫の知らせとは何か
虫の知らせは、いわば反射的に働く知恵です。知恵というものは、様々な経験を通じて身についていきます。その経験を通じて、直感や物の見方、そして教訓が自分の中に溜まっていきます。それを他の人と共有すると、価値観について見解の相違が出てきます。しかし、こうした別の視点のおかげで、あなたの理解は広がり、さらに教訓を得られるのです。自分と違う取り組み方や態度、感情、言葉など、すべてを観察してください。学び続け、その学びを丁寧に分類して整理していってください。 ...
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