4章電話選抜
転職をしたいと考えた時、それを支援してくれるインフラは今ではとても充実しているように見える。
もちろん、そうしたインフラは、利用者が少しでも早く望む仕事に就けるよう工夫されているはずだし、作るのには一定のコストがかかっているはずである。だが、残念なことに実際に役立つことはあまりない。たとえば、企業の中には、人材募集のWebサイトを持っているところが多い。だが、そうしたサイトの構築は通常、他社に外注される。サイトは主に人事部が使うのだから、人事部で作ればいいのだろうが、人事部にはそんな予算もなく、そのための知識や技術もないのが普通である。それはある意味、当然だし、そうあるべきとも言える。サイトの構築は彼らの「コア・コンピテンシー」ではないからだ。
人材募集の体制が十分に整っている会社は多くない。リクルーターも外注のことが多い。問い合わせの電話やメールにも即座に対応してもらえることの方がむしろ珍しい。だが、その会社に知人がいれば、うまい具合に自分にあった部署に入れてもらえることがある。その可能性は、Webサイトを利用したり、リクルーターを通したりするよりも飛躍的に高まる。少なくとも私の経験上はそうだ。知人のいない会社に求職しても、履歴書が担当者のデスクに置きっぱなしになってしまうことが多いが、知人の紹介ならそういうことは少なくなる。
もちろん、運良く電話で話をさせてもらえることもある。話ができれば、少し安心はする。後で友人に「あの会社の電話面接を受けたよ」などと話したくなるかもしれない。
でも、実際にはそれは「面接」などではなく、「電話選抜(phone screen)」と呼ばれるものである。電話での話し方で「ふるいにかけられる」(screenはふるいにかけるという意味)のだ。面接は、もっと先の話だ。ふるいにかけられずに残った者だけが面接に進める。30秒くらい電話で話して相手に自分を強く印象づけることなどほとんど不可能だ。履歴書で注目されるのも難しいがそれと同様だろう。ともかく、会社の建物に入るまでは何も起きていないに等しいと言える。 ...
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