12章言い訳
誰にも、自分を他人と差別化するために気をつけていることというのがあると思う。私にもいくつかあるが、その一つは「未読メールは常にゼロにする」ということだ。文字通り、ゼロだ。重要度の高いメールも低いメールもあるが、ともかく受信箱に入ったら即座に読むのだ。こういう世界で働いているので、普通の人より優れたメールフィルタが使えるという強みはあると思う。おかげでスパムの類は一切、私の目に触れることなく排除されるので、届くメールの大半はそうと意識することなく無視できる。だが、スパムでなく、真に私に宛てて送られたメールは常に即座に読むようにしている。
私は返信に関してもいくつか自分なりにルールを設けている。ただ、このルールも絶対確実なものではない。メールを読んだものの、返信をしないということがよくあるのだ。もちろん、中には、内容を読んで腹を立ててあえて無視しているものもあるが、返信するつもりはあるのに忘れてしまうこともある。なぜ、返信をしていないのか、その理由をどう説明するのが良いか、私はずっと考えている。メールの冒頭で、まず対応が遅れたお詫びをし、理由を説明するという場面は多々あるからだ。たとえば、こんなふうに書いたとしたらどうだろう。
「返信が遅くなり申し訳ありません。色々と立て込んでいたものですから……」
確かにウソではないが、これでは単なる言い訳になってしまう。
忙しいというのは素晴らしいことだと思っている。忙しい人たちの一員でいられることを誇りにも思っている。暇な人たちの集まりに顔を出したこともあるが、そういう時はいつも退屈な思いをした。
だが、メールの返信を忘れたりすれば、そんな誇りも消えてしまう。罪悪感の方が大きくなるのだ。礼を失してしまい、「忙しい」というありきたりな言い訳をしている自分。悪いことをしたという気持ちはなかなか消えない。 ...
Become an O’Reilly member and get unlimited access to this title plus top books and audiobooks from O’Reilly and nearly 200 top publishers, thousands of courses curated by job role, 150+ live events each month,
and much more.
Read now
Unlock full access