はじめに
何年か前から私は、人工知能(AI)や機械学習が介入した仕事を、「ロボットの仕事」と呼ぶようになっている。たとえば、「このリストを作ったのは人間? それともロボット?」などと人に尋ねることが増えた。これはつまり、リストの作成にAIや機械学習が関わっているか否かを尋ねているわけだ。本来は非常に複雑なはずのエコシステムについて、「この仕事をしたのは人間なのか、ロボットなのか」という極めて単純な質問によって知ろうとしていることになる。
私は物事にラベルづけをするのが好きだ。それで世界が少し理解しやすくなるからだ。
最初の著書には『Managing Humans(人を管理する)』というタイトルをつけた。その本が刊行されたのは、今(2020年代半ば)のようなAIブームが起きるよりはるかに前のことだが、その頃から私がラベルづけを好んでしていたことがわかる。ラベルづけをすると少ない数の言葉で多くのことが言えて便利である。
本書は元々、『Being Geek』というタイトルで刊行した本であるが、お気づきの通り、タイトルが変わっている。最初に執筆した2010年当時、「ナード(nerd)」、「ギーク(geek)」といった言葉がいわゆる「バズワード」になっていたのだ。私もあちこちの講演で、「ナードやギークのマインドセット」について話をした記憶がある。それまでは「リーダーシップ」について話すことが多かった私にとっては楽しい寄り道ではあった。
だが、本書の執筆を進めるにつれ、私はこのタイトルに違和感を持つようになった。大半はリーダーシップのことを書いているのに、タイトルのせいで無理に「ギーク」に結びつけるようなことも多くなったのだ。執筆を終える頃には、私の関心は完全に元通り、リーダーシップのみに向かっていた。タイトルは『Being ...
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