10章マネージャーのマネージメント
社内に何か良からぬことが起きれば、皆、何となくはそれを察するものである。まず、幹部の数が減る。予定されていたミーティングが何の連絡もなしに開かれなくなったりする。何かがおかしい、ということは察知できる。ただ、差し当たって業務は進んでいる。資金繰りも3ヶ月前に済んでいる。まだ大丈夫、という気もする。ただ、なぜ幹部がいなくなったのか、その理由は気になる。
そんなある日、緊急のミーティングが開かれる。幹部とシニアマネージャーとのミーティングである。そこでこんな会話が交わされる。
「エンジニアリングバイスプレジデントには辞めてもらうことになった」
「えっ、私の上司のトニーのことですか? 何も問題はないと思うのですか。なぜ、辞めさせられるのか、よくわかりません」
後になって、トニーと他の幹部の間が不和だったことがわかるのだが、その時はそれが明確には説明されないのだ。この章では、特に役員室での人間関係、駆け引きのようなものについて話をしたいわけではない。だが、章の主旨とは関係ないが2つのことだけは言っておきたい。1つは、自分にとって良い上司だからと言って、他の人にとっても良い人間とは限らないということ、もう1つは、いつどんなことが起きてもいいように、日頃から備えておくべきということだ。
幹部の1人が全会一致で辞めさせられるというのはよくあることだ。誰かが辞めさせられれば、すぐに代わりの人がその後を引き継ぎ、仕事を始める。新しい上司のギムリーとあなたとのミーティングもすぐに開かれるだろう。そのミーティングでは、現状についての説明をすることになるわけだが、少なくとも20分はしゃべらなくてはならないだろう。こちらが一方的に説明をするのだ。こんなふうに言われる。「今、どういうことになっているか教えてくれ、全部聴くから」 ...
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