35章やっていないことリスト
自分の達成したことを自分で肯定できず、これはただの偶然、幸運にすぎないのでは、と考えてしまう人たちがいる。そういう状態のことを「インポスター症候群」と呼ぶ。インポスター症候群の人たちは自分はどこにも属することができず、十分な能力もないと感じている。そして、いずれ近いうちにそんな本当の自分の姿が皆に露呈するだろうと思う。
自分のことではないか、と思い当たる人もいるだろう。きっとあなたの身近にも同じような人が大勢いるはずである。友人や同僚との間でそういう話をしたことがある。誰かが「自分はインポスター症候群ではないかと感じたことがあるか」と皆に尋ねたのだ。すると、自信も能力もあって働き者としか思えない人たちがすぐに一斉に「ある」と言ったので私は驚いてしまった。
なぜそうなのか。なぜ、優秀に見えるはずの人たちがそんなことを感じるのか。
本当のことは私も知らない。私は心理学者ではない素人だからだ。だが、時々、理由を知りたいと思い、しばらくの間考える。
人間にはどうにも理解ができない不合理な面が数多くあり、これもその一つではある。他にもそういう例があるのでこの章ではそれを紹介しよう。
タイトルのないリスト
私の手帳の最終ページには、タイトルのないリストがある。手帳を使い切る度、私は律儀にも新しい手帳の最終ページにそのリストを書き写している。
それはいわば「やっていないことリスト」である。重要だとわかっているけれど、今は何らかの理由でやっていないことを列挙してある。やっていない理由はいくつも考えられるのだが、このリストを作り、書き直すのに時間と労力が取られることもその一つかもしれない。
重要なのにやっていないこと、というのは矛盾していると感じるかもしれない。意味がわからないと思う人もいるだろう。合理的でないことは私も十分承知している。だが、このまま読み進めれば、理解してもらえるかもしれない。重要なのに取り組んでいないのは、すべて私のせいだ。それはわかっている。でも、やらないのには立派な理由があるのだ。たとえば、次のような理由である。 ...
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