33章3つの役割
仮に読者が今、ミーティング中だとしよう。いわゆる「部署横断的」なミーティングである。社内の色々な部署から人が参加しているだけでなく、参加者の持つ知識や技術も、仕事への取り組み方も様々である。議題も多岐にわたっている。当然のことながら、「プログラムマネージャー」と呼ばれる種類の人も参加している。立場上、プログラムマネージャーは、皆の通訳のような役割を果たすことになる。
優れたプログラムマネージャーならば、社内の特定の部署内、特定の職種だけに通用する「方言」のような言葉も十分に理解し、うまく操ることができる。たとえば、エンジニアが「終わった」と言えば、それは「ペンディングになっていた関数テスト、製品テスト、ドキュメントの最終レビューができた」という意味である。決して、あらゆる作業がすべて完了し、製品が完成したという意味ではない。プログラムマネージャーはそれを知っているので、たとえエンジニアが「終わった」と言っても、プロダクトマネージャーにはそれをそのまま「終わった」とは伝えない。そうしないと、プロダクトマネージャーが営業にそのまま伝えてしまい、営業はまだ完成していない製品を顧客に販売してしまうからだ。
進行中のミーティングでは今、一つの決断が下されようとしている。大したものではない。普通のソフトウェア会社ならば、日々下しているような決断だ。それに、即、決断されるわけではなく、まだしばらくは話し合いが続く。とはいえ、参加者は皆、緊張していた。何を言っても他の参加者の厳しい目にさらされることになるからである。
プロダクトマネージャー:完成までには、あと何と何が必要なんでしょうか。
プログラムマネージャー:ええっと、今のはどういう意味かというと……。
エンジニア:いいですよ。言いたいことはわかります。時間をかけるなって言うんでしょう。無理して品質を上げなくてもいいってことですか。機能も減らせばいいって言いたいんでしょう。 ...
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