26章マネージメントのシステム
エンジニアは、自分の担当するシステムについてなら、どんなことでもすべてわかると思っている。また、わからなくてはならないと思っている。誰かが「どうしてこういうことが起きるのか?」と尋ねてきたら、必ず正確な答えを見つけ出せると100%確信している。
エンジニアたちの頭の中にあるのは、そういう世界である。もし世界が本当にその通りの場所だったとしたら、エンジニアとは実に素晴らしい仕事だろう。
もちろん、「何でもわかる」というのはさすが言いすぎだ。エンジニアにもわからないことはある。しかし、システムの中の自らの担当する特定の一部について、エンジニアが非常に詳しいのは確かだ。自らの手で作り、システムに組み込んだ部分についてなら、非常によくわかっている。特にその部分がどういう「ルール」に従っているか、ということには詳しい。なぜなら、そのルールを定めたのは自分自身だからだ。
エンジニアになる前、私は、精肉店やレンタルビデオ店の店員、弁護士助手、書店員などの仕事をしてきた。どの仕事も、もう辞めてから15年以上になるが、いつも、心の底に何となく「虚しさ」を抱えていた。「自分は何も作っていない」と思っていたのだ。肉を切ったり、本を売ったり、文書をタイピングしているだけで、何も作ってはいない。ただ、物を右から左に動かしているだけだ。そういう気持ちに苛まれていたのだ。
そのため、初めてエンジニアの仕事をした時には、何か天の啓示でも受けたように感じた。「何かを作る」ということが仕事だったからだ。たとえば、データベースアプリケーションなどの製品を自分たちの手で作り上げる。自分の担当部分を割り当てられる。その部分を作るのは自分の責任である。失敗は許されない。
自分の手で構造を作り上げ、ルールを明確に定義すること、そのすべてが私にとっては本当に面白いことだった。 ...
Become an O’Reilly member and get unlimited access to this title plus top books and audiobooks from O’Reilly and nearly 200 top publishers, thousands of courses curated by job role, 150+ live events each month,
and much more.
Read now
Unlock full access