19章BAB
ある会社のマネージャーたちの間で口論が起こっていた。特に激しくやり合っていたのはレオとヴィンセントである。どちらも、指揮しているプロジェクトは問題なく進行していた。製品の開発自体に問題はなかったのだ。ところが、2人が顔を合わせると、互いを怒らせる発言を始めてしまう。口論の種はこんなふうにいつも些細なことである。
レオ:ヴィンセント、例のツールだけど、予定どおり水曜日に出荷できるのかな。
ヴィンセント:スケジュールどおり進行しているよ。
レオ:水曜日の出荷は間に合うのか。
ヴィンセント:今のところ、予定どおり進んでいる。
レオ:だから水曜日は大丈夫なのかって聞いているだろう。
こうして会話は平行線のまま、双方、だんだんいら立ってくる。2人とも、いわゆる「タイプA」の人物で、せっかちで競争心が強い。そして、何より、人から指図されることを嫌がる。どちらも仕事のできる人で、話す相手が違えば、非常に実りのある会話になることが多い。そして、レオ、ヴィンセントのどちらに訊いても、一体、互いのどこが問題なのかはよくわかっていないようである。なぜ、すぐに口論になってしまうのかどちらもわかっていないわけだ。
しかし、私から見れば、口論になる理由は明らかである。2人は、お互いを信用していないのだ。
信用
これは、同じ職場で働く人どうしの距離感の問題と言ってもいいかもしれない。共に仕事をしていく上で、どのくらいの距離感で接するのがいいのかということだ。あまり距離が遠いのも良くないが、やはり一定の距離は必要という意見も多い。
距離感の問題は、一般の社員の場合よりも、マネージャーの場合は、より重要かもしれない。マネージャーはチームの代表であり、皆をまとめる役割を担っている。会社の意思を皆に伝える役割も果たさねばならない。解雇や昇進、昇給といったことにも深く関わり、社員の運命を左右する。そういう立場なので、一定の距離をとるよう意識しているか否かにかかわらず、一般の社員にとってはどうしても異質な存在になりがちだ。 ...
Become an O’Reilly member and get unlimited access to this title plus top books and audiobooks from O’Reilly and nearly 200 top publishers, thousands of courses curated by job role, 150+ live events each month,
and much more.
Read now
Unlock full access