40章就職先の選択
この本の読者の大半は、いわゆるハイテクの業界で働いている人だと思うが、この業界での最初の仕事に就くまでにどんなことをしただろうか。私もそうだが、考えられ得るあらゆることをした、という人も多いに違いない。インターネット上の求人掲示板を見て、職業指導センターや就職フェアにも行くという具合に。
その時期は、何も具体的なことがわからないから、不安だし、混乱もする。何十人もの人たち(だいたい皆、笑顔だ)に手当たり次第、乏しい経験を基に懸命作った履歴書を渡す。「本当にどこか入れるところはあるんだろうか」と思いながら。
しかし、まったく予想外の出来事が起きることもある。何がきっかけになるかわからない。たとえば、たまたまイタリアへ旅行に行って、フィレンツェの街でお酒を飲んでいたら、そこで思いがけない人に会うかもしれない。その人はたまたま米国人で、実はシリコンバレーで働いている人かもしれない。その人と遠い外国で知り合ったおかげで、ハイテク業界の会社に就職できることもある。
最初の就職でそんなことが起きると「先のことなんて、自分ではどうすることもできないんだ」と思ってしまう。結局、流れに身を任せるしかない、と思えてくる。偶然、どんな人に会うか、その人が自分を買ってくれるかどうか、それがすべてのようにも感じる。たまたまうまくいけばいいけれど、そうでなければ、どうすることもできない、ということだ。
私自身、たまたま会った人に良い話をもらって就職できたという体験を何度もしている。なので、人生が偶然に大きく左右されることは実感している。「運命」はあるもしれないとは思うし、すべてを運命に委ねてしまう人がいても無理はないとも思う。だが、一方で、やはり自ら戦略を立てて動くことも重要だと考えている。 ...
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